住民のいのちと健康を守るための保健所体制の強化・必要な人員配置を!

2月19日、府職労本部と保健所支部は、健康医療部が報道発表した「茨木市事案〜部内検証報告〜」について、知事と健康医療部長あてに厳重に抗議し、直ちに「報告」を撤回・修正するよう求めるとともに、次のとおり声明を発表しました。

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2014年6月、茨木市において3歳の幼児の死亡事件が発生しました。2015年2月9日、大阪府健康医療部は「茨木市3歳児死亡事案における健康医療部内での検証結果の報告について」を報道発表し、「茨木市事案〜部内検証報告〜(以下、「報告」)」を公表しました。
「報告」は「所内検証を踏まえて、部として再点検し、検討精査のうえとりまとめた」としていますが、児童死亡事例に対する検証のあり方や今後の保健師活動において重大な問題を有しています。

児童虐待死亡事例に対する検証は「虐待による児童の死亡事例について、事実の確認を行い、死亡した児童の視点にたって発生原因の分析などを行い、必要な再発防止策を検討するもの」(平成23年7月厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長)とされています。しかし、今回の「報告」は「発生原因の分析」や「必要な再発防止策」について検討したとは言い難く、責任を職員個人へ転嫁するものと言わざるを得ません。
府職労保健所支部は、健康医療部長に対し、厳重に抗議するとともに、直ちに「報告」を撤回・修正するよう求めました。

1.報道発表された「報告」には、死亡した子どもやその兄弟について詳細に記載されており、プライバシーと人権を著しく侵害するものです。

2.「報告」では、「担当保健師をはじめ保健所内関係者に聞き取りを行った」と述べていますが、実際には「結論ありき」でまとめられた内容であり、大きな誤解を生じさせるものです。

また、発生原因の分析について、保健所や大阪府の体制の不備等に言及していますが、死亡した子どもの視点にたった発生原因の分析はされていません。

3.保健所内における事例検討会は、所長、次長、地域保健課長、保健師長が出席し、今後の事例への支援について検討し、対策を決定する場であり、その決定事項は保健所としての方針です。
しかし、「報告」は支援方針が保健師個人の判断であるかのように記述し、その責任を保健師個人に転嫁しています。

4.児童虐待死亡事例に対する検証は、個人の責任追及や批判を行うためではなく、「組織としての再発防止」に向けた改善策を見出すために行われなければなりません。
しかし、「報告」は「担当保健師の虐待児支援が問題であった」と結論づけ、その改善策についても、保健師活動に支障をきたし、保健師個人に負担を強いる内容であり、組織全体の抜本的な改善策にはならず、児童虐待対策の充実にはつながりません。

5.「今後の対応」では、「自己点検の徹底」や「虐待予防関連ツールの改訂」を強調していますが、これらの徹底は管理強化と自己責任を押しつけるためのものであり、本来の保健師活動の強化や充実につながりません。また、これだけでは児童虐待対策の充実強化にもなり得ません。

6.「障がいのある子どもをどのように支援するのか」という視点においても、行政として支援方法等をどのように深めていくのかという点が欠落しています。マニュアルどおりに実施支援することができない事例が多くある保健師活動において、専門機関からのスーパーバイズこそが必要ですが、その点については何の検討もされず、改善策も出されていません。

7.「保健師の活動体制の変更」として、「平成27年度から、各保健所における母子チームと難病チームを一体化して1チームを構成する保健師数を増やし」と述べていますが、指定難病も小児慢性特定疾患も対象疾患が増え(平成27年1月より指定難病は56疾患から110疾患へ拡大、同年8月より約300疾患に拡大することが決定。小児慢性特定疾患も約500疾患から約700疾患に拡大)、その対象数は1・5倍以上に増えるにも関わらず、保健師配置数を増やすなどの体制強化の提言はされていません。
一体化して「機動性を高める」としていますが、どのように機動性を高めるのかの言及もなく、対象数が増加するもとで保健師を増やさなければ、機動性は高まるどころか低下するのは明らかです。

健康医療部は、母子業務の市町村移管時に「0・7人分の業務量減」を理由に、各保健所の保健師1名の削減を強行しました。一方で、業務量増加時には、必要な人員増を行わず、保健師の数は全国的最低水準となっており、保健所では長時間過密労働が恒常化しています。
府職労保健所支部は、今後の児童虐待防止対策として、府と市町村保健師及び子ども家庭センター、市町村担当課職員の人員増、専門機関によるスーパーバイズ、研修の充実、要保護児童対策地域協議会の機能強化等について、大阪府として予算的措置を行うとともに、重層的な連携強化に向けた整備を行うことを強く求めます。
 また、府民のいのちと健康を守り、二度とこのような事件が発生することのないよう労働組合の立場からも全力を尽くす決意です。

2015年2月19日
大阪府関係職員労働組合執行
委員長 有田 洋明
大阪府関係職員労働組合保健所支部
支部長 菅野 佳一