府労組連ニュース・「給与構造改革」、給与・一時金カット継続の不当提案 「構造改革プラン」撤回、不要不急の大型開発こそ見直せ

9月16日、府当局は府労組連に対し「給与制度の改革及び給料の特例減額の実施について」を提案しました。「給与制度の改革」では、4級主任主事・5級主査の廃止、現業職員への「技能労務職給料表」の適用、「現給保障」の廃止など、これまでの給与水準を大幅に低下させる内容となっています。また「人件費削減の取り組み」では、この間の給与カット・一時金カットを引き続き3年間継続するとしています。この提案に対し、辻委員長は「3年間『財政再建プログラム』に基づく大幅な人件費削減が行われたが、それによって、府民のくらしも府財政も好転しなかった。大企業だけ応援する成長戦略も、職員・府民犠牲の財政運営も破綻している。その誤りをさらに拡大する『構造改革プラン』と人件費削減の撤回を強く求める」と述べました。

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当局は「給与制度改革」の理由として、①同一の職務の級に複数の役職段階が混在、②国を超える職務の級の格付けや在級年数による一律的な昇格を行っている、③「給与制度改革」における現給保障等により、制度本来の給与と現実の給与が異なっていることを課題として挙げ「府民の理解を得るため」「職員のやる気を引き出すため」などと述べ「国の制度を超えて」給与制度を整備するとしています。

■行政職4級主任主事、5級主査不当降格

行政職・研究職・医療職(二)(三)の給料表については、1つの役職段階に1の職務の級を割り当てるとして、別表【1】のとおり再編し、国を超える職務の級の格付けや在級年数による一律的な昇格を廃止するとしています。これによって、別表【2】のとおり、現在の行政職4級主任(主担)主事は新2級へ、5級主査は新3級へ降格となり、これまで必要性を認め任用してきたことを否定する不当な提案です。また、次長級(新7級)と部長級(新9級)については定額制としています。

■再任用職員も給与削減

再任用職員については、現行で任期が更新される在職者との均衡の観点から、独自の額の設定を行っていましたが、当時任期が更新された職員が退職し、その意味合いが薄れたとして国の2級と同額に引き下げるとしています。これによって、主事級の再任用職員についても別表【3】のとおり大幅な減額が行われます。

■技能労務職給料表導入

現業職員については、これまで行政職給料表を適用していましたが、①非現業職員と従事する業務の性質が異なる、②非現業職員と役職の構成が異なる、③国の類似職種の職員の給与に比して相当に高い水準にあることを理由に、国の行政職俸給表(二)を基本とした「技能労務職給料表」を適用するとし、公務における現業職場の業務内容や役割を無視し、別表【2】のとおり、大幅な給与削減を行おうとしています。これにより圧倒的多数の現業職員は1級最高号給27万6800円で頭打ちとなり、最高職階でも3級最高号給36万8800円止まりになります。技能労務職給料表の導入は、非正規・低賃金労働者が多数を占める民間類似職場と賃金比較を行い、自治体現業職員が法外な賃金を受け取っているようなイメージを住民に植え付けるだけでなく、民間を含む現業労働者の低賃金を固定化するものであり、断じて許せません。大阪府が率先して公契約条例を制定するなど、民間委託労働者や類似業務に携わる労働者の低賃金を引き上げることこそが重要です。給料表の切替えは2011年4月1日実施とし、今回の制度改正により生じる給与財源は、若年層を中心に配分するとし、具体的には人事委員会における本年度の給与調査の結果を踏まえ、決定するとしています。

■評価結果の給与反映など別途提案

人事評価制度及び教職員の評価育成システムの評価結果の給与への反映については、当局実施のアンケート結果も踏まえ、別途提案するとしています。職務段階別加算については、2006年の「給与制度改革」において、行政職給料表の旧4級から現2級に切り替えられた職員のうち、5%加算を支給されていた職員に対する経過措置(2級で引き続き5%支給)については、2010年度限りで廃止するとし、その他については、級再編後の級に対応した現行の支給割合とすることを基本に調整し、別途提案するとしています。

■「現給保障」廃止 経過措置は今後協議

現行の「現給保障」についても廃止し、今回の「給与制度改革」により、給料月額が減額される場合は、段階的に金額を引き下げる経過措置を設けるとしていますが、その具体的方法や期間については、今後、府労組連と協議するとしています。これまでの「現給保障」は、2006年の「給与制度改革」によって、任用制度を一方的に廃止し、多くの職員の給料月額の大幅な減額が強行されたことによるものです。当局は「現給保障」と言っていますが、これまでの給与水準はいっさい保障されずに、2006年当時の給料月額に据え置くという昇給停止措置です。民間でも大幅な賃金削減時には当然行っている措置であり、廃止提案は到底許されません。

■不平等・拙速な提案は撤回せよ

今回提案された「給与制度改革」は「国の制度を超えて、職員の勤務に的確に報いる職務に応じた給与制度」としながらも、国を超える部分については一律に削減するというものであり、人件費削減が大前提の「改革」になっています。また、医療職給料表(一)や標準職務表、人事評価に基づく給与反映、経過措置の方法や期間について示さずに別途提案とするなど、人件費削減を前提にした拙速で不十分な提案と言わざるを得ません。また、1つの役職段階で1つの職務という考え方は、その職務実態を無視し、職員のやる気をなくさせるものです。限られた役職の範囲、広範な職種の存在、職種によって最終到達する役職段階の違いなど、多くの課題があります。「分かりやすい」というだけの理由で安易に役職段階だけで職務を決めることは職員間、職種間での不平等をもたらすものです。また、限られた昇任枠のもとで、職員間の競争をあおり、昇任・昇格の機会の少ない女性や少数職種、現業職員は低い給与水準にとどめられます。
同時に、公務職場では、公務労働の専門性や政策立案能力を集団の中で高め、住民全体の利益に奉仕する職務体制こそが求められており、それにふさわしい給与制度が必要です。

■知事のひと声でカット額増

当局は、今回の「給与制度改革」と同時に「人件費削減の取り組み」として、「給料月額の減額」「期末・勤勉手当の減額」も提案しています。財政状況が依然として厳しく、今後とも人件費削減に努める必要があるとして、現行の給与・一時金カットについては、今年度末に満了するにもかかわらず、引き続き2011年度以降も3年間継続するとしています。
これは、9月14日開催の戦略本部会議で、橋下知事が、私立高校への授業料支援補助金の拡充に当てる財源を捻出するため、人件費削減の増額を持ち出し、人件費削減額が270億円から今回提案の353億円に一瞬にして増えたためです。
私立高校への授業料支援補助金の拡充は大いに進めるべきですが、「財政構造改革プラン(素案)」で、府民の福祉・医療・教育を切り捨て、阪神高速道路建設や関空2期工事など、不要不急のムダな大型開発にメスを入れずに「財源がない」として安易に人件費カットを打ち出すのは本末転倒です。「財政構造改革プラン(素案)」を白紙撤回し、改めて再検討すべきです。

■トップダウン府政推進の給与制度改悪

今回の「給与制度改革」の提案理由として当局は「地域主権の時代において、本府が、大阪府民の活動を支える地方政府として、職員がその能力を十分に発揮し、その職務を的確に遂行し、組織力を最高度に発揮するため」としていますが、そもそも、私たち公務員には憲法15条で規定されているように「全体の奉仕者」としてその職務を遂行・専念することが求められています。そのため、公務員の賃金・労働条件や身分保障は、「住民全体の奉仕者」としての職務を遂行・専念するに相応しいものでなければなりませんし、職務・職階制賃金や成績主義賃金などすべての差別分断賃金は排除されなければなりません。また、地方公務員法でも生計費原則が第一に据えられています。今回の提案は、人事・任用制度で出されているように、知事と価値観を共有し、同じ考え方を持つ本庁部局長や本庁課長、新入職員を作ることで、橋下知事によるトップダウンの府政運営をさらに進めるための給与制度改悪であり、到底認められるものではありません。

■カットをやめることこそ職員のやる気を引き出す

この間の人件費カットは、2年間の定期昇給ストップをはじめ、給与カットは3年間、一時金カットは6年間も継続しており、もはや時限的な措置ではなく、恒常的継続的なものになっています。当局は「給与制度改革」によって「職員のやる気を引き出す」としていますが、これほど長きにわたる人件費カットのもとで、職員・教職員の生活不安や士気低下は大きくなる一方です。当局が今年7月に行ったアンケート(知事部局)でも「がんばりが評価に結びついていない」とする職員は66%(二次評価者68%)になっており、「がんばりを促し組織のパフォーマンスを向上させるために、評価結果の給与反映をどのように改善すればよいか」との問いに対し「昇給への反映をなくす」と答えた職員が40・1%(二次評価者48・7%)となっています。また、府職員・教職員の人件費カットは民間労働者の賃金にも大きな影響を及ぼし、低迷する大阪経済に追い討ちをかけるものとなっています。

■撤回めざし、府民・労働者との共同闘争を進めよう

府労組連は、21日に拡大中央委員集会を開催し、職場・地域からの取り組みを強化します。給与・一時金カットの継続を断じて許さず、すべての職員・教職員の生活を守るとともに「全体の奉仕者」として職務を遂行・専念できる給与制度の実現、職場に差別・分断を持ち込む成績主義賃金の廃止をめざし、全力で奮闘します。また、不要不急のムダな大型開発にメスを入れず、府民の福祉・医療・教育を切り捨て、さらなる人件費削減と橋下知事の府庁の私物化を狙う「財政構造改革プラン(素案)」の撤回をめざし、広範な府民・労働者と共同したたたかいを展開します。