府労組連ニュース 大阪府財政構造改革プラン≪素案≫に対する府労組連見解

大型開発優先、大企業応援、府民・職員犠牲のプランは撤回を「財政構造改革プラン」反対の職場共同・府民共同を展開しよう

大阪府は8月5日、戦略本部会議を開催し、「財政構造改革プラン(素案)」を公表しました。府民に向けたパブリックコメント(9月3日まで)等を実施し、9月上・中旬には「プラン」の成案を策定したうえで、9月22日に開会予定の府議会で審議されます。
また府当局は、賃金・労働条件に関する府労組連への提案について、府人事委員会の意見をふまえ、9月上・中旬の「案」公表時にあわせて行うと表明しています。府労組連は、府民・職員犠牲をさらにすすめる「プラン」の撤回、府民・職員要求の前進と財政再建の実現をめざし、職場からの共同、府民との共同のとりくみをすすめます。

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(1)「大阪府解体」「大阪都づくり」を切り札にした府民・職員いじめ

「財政構造改革プラン」は、現行の「財政再建プログラム案」の後継プランで、11〜13年度をとりくみ期間とし、「歳入歳出改革」「国への制度提言」「公務員制度改革」「財政運営のあり方」を改革の4つの柱に位置づけています。
「プラン」のなかでは、府自らが「地域主権をリード」することを表明するとともに、国に対し、地域主権の名による道州制を推進・実現するよう迫っています。
「素案」全体を通して浮かびあがってくる「プラン」のねらいは、①国に対して「地域主権」の名による道州制の実現を求めるとともに、②自らは道州制を先取りして、大阪府の機能を解体させ、府民のくらし・教育・営業を支える府の責任を市町村・民間・府民の自助努力に転嫁し、③府職員・教職員に対しては、「公務員制度改革」と称する給与制度・任用制度の大改悪を行い、人件費大幅削減を断行する、というものです。

「プラン」は、「財政再建」「大阪府解体」「大阪都づくり」を切り札にした究極の府民いじめ・職員いじめだといわなければなりません。

(2)福祉、教育、くらしをいっそう切り捨て
《歳出改革》

「歳出改革」では、9つの主要分析事業と、「400事業の評価」が示されています。「主要分析事業」では、私学助成、福祉4医療、府育英会助成、中小企業向け制度融資、公営(公的)住宅事業など9つの事業をあげ、見直しの対象としています。
「素案」のなかで、改革プロジェクトチームと部局の意見が分かれていた私学助成削減については、その継続・拡大がもりこまれるとともに、あらたに府営住宅の半減を打ち出し、弱者いじめの姿勢を鮮明にしています。
また府立高等学校については、「学校運営体制の見直し」として、事務職員の削減を示し、公私間の競争をあおり、新たな府立・私立高校つぶしをすすめるということを検討課題にしています。

《歳入改革》

「歳入確保」では、府民の共有財産の売却、「特別回収・整理チーム(仮称)」による債権管理の強化とともに、「使用料・手数料の見直し」として、社会教育施設の小中学生の入場料を有料化するなど、受益者負担主義にもとづき検討をすすめるとしています。
さらに、「素案」のなかで、あらたに「課税自主権の活用」を打ち出し、超過課税や法定外税などを府独自に検討し、あらたな府民負担の制度導入をはかろうとしています。

(3)大規模開発は聖域、大企業優遇を継続

「素案」では、「財政運営のあり方」として、これまでの財政運営の検証と今後のあり方が新しく追加されました。
しかし、財政悪化の最大の原因である大規模開発については、「普通建設補助、普通建設単独とも、平成初頭から平成7年に向け、他府県と比べても大きく伸びていた」「主要プロジェクト。施設、鉄道、関空関連の整備案などが平成一桁代に集中している」と見てはいるものの、「これらは急に作ったものではなく、いずれも相当の時間をもって、府の英知を集めて計画されたもので、例えば昭和57年の総合計画や、平成3年の新総合計画などに盛り込まれているものがほとんど。景気後退期における需要喚起として未来の大阪に備えてきたもの」などと肯定し、やむをえないものとの認識を示しています。
98年以降の財政改革の失政の原因は、府労組連、府民の反対を押し切り、人件費(▲4694億円)、府民施策等の見直し(▲4969億円)による削減を行う一方で、大規模開発である鉄道整備(6588億円)、関空関連(4兆198億円)に多額の予算を投入し、法人税率の減少(89年:37.5%09年:30%)、超過課税の減少(89年:809億円09年:291億円)など大企業の優遇政策にあったことは明らかです。

(4)府民施策の充実で、大阪経済の活性化を

橋下知事がすすめる「財政構造改革プラン」は、破たんずみの路線を、府民や職員の犠牲でよりいっそう強引にすすめようとするものです。主要プロジェクトの凍結・見直しを行い、大企業に対する応分の負担(内部留保(00年:22.8兆円08年:27.8兆円、09年:24.8兆円)の数%の吐き出しなど)を求め、その財源を福祉や医療、教育、中小企業支援、職員給与のカット廃止に回すことにより大阪府財政の改善や大阪経済の活性化につなげることができます。

(5)間違った「収入の範囲内で予算を組む」という考え方

また、家計と違い公共の財政の考え方には、「量出制入」(必要とされる歳出をまず量り、その後の歳入策を制御する)という原則があり、憲法と地方自治法の精神に基づき、住民の安全、健康、福祉を保持するため歳出を優先して決定し、その上で、必要な歳入は大企業や大資産家などから応分の負担を求める応能負担原則に基づいて集めるというものです。「収入の範囲内で予算を組む」という考え方は、財政学上確立している原則にも反するものです。

(6)財政収支見通しの変更―信ぴょう性のなさが明らかに

10年4月段階での「今後の財政収支の見通し」では、要対応額が、3年間で3140億円となっていましたが、8月段階では、下表のとおり各年600億で1800億円と大きく縮小しています。
大阪府は、前回試算との違いについて、①6月22日に内閣府が発表した「経済財政の中長期試算」で示された数値を参考にし、実質税収の増額及び公債費の減額、②09年度の決算剰余金311億円を活用、③減債基金復元額の平準化などをあげています。
このことは、考え方次第で要対応額が減少すること、「財政収支見通し」の信憑性を疑わせるものであること、箕面森町や阪神高速淀川左岸線など大型開発の中止・凍結、減債基金復元額のよりいっそうの平準化など、府民の立場に立った「財政収支見通し」の策定や府民施策の切り捨てと職員の人費カットを行わずに財政再建することが可能なことを示しています。
今回の「素案」では、「中長期的な財政収支の見通し(試算)」の策定と府政運営の基本方針との連携の必要性が強調されていますが、試算については、大阪府当局自身も認めているとおり、「不確定要素を多く含んでおり、相当幅をもってみる必要がある」というものです。
このような数値を絶対視し、財政の厳しさを強調することで府民施策を切り捨てる免罪符を与えることなく、府民のいのちやくらしを守るという大阪府の本来の役割を求めるとりくみが必要です。

(7)不当にも人件費カットを表明

11年度の要対応額600億円に対し、ある程度具体的に示された構造改革分は125億円。収支不足分(475億円)については、「予算編成における歳入歳出の取り組み」と「人件費」で対応するとなっています。予算編成方針(案)では、「基準財政需要額、他団体の水準との比較を行った上でマネージャーとして部局長が主体的に予算要求」するとしていますが具体的には来年1月以降でないと明らかになりません。また、知事重点事業分の予算捻出のため、収支不足分に対応する以上の削減が必要となります。
人件費については、「引き続き職員給与の時限的な減額により、人件費の抑制に取り組む」として、賃金カットを表明しています。
知事は、8月5日の囲み取材のなかで「人件費と行政サービスの見直し分、ちょっと合わせ技で」「住民に負担が生じるのであれば、それに匹敵する職員サイドの負担を出さないと納得してもらえない」と発言し、府民と職員を意図的に分断し、双方に犠牲を押し付けようとしています。

(8)「公務員制度改革」―給与・任用制度を改悪

「公務員制度改革」については、「素案」のなかで、「人事評価制度の見直し」として「より身近な上司による評価の実施や部下からの評価の拡大」などが追加されました。しかし、先般府当局が公表した「新人事評価制度アンケート」結果からも、2次評価者の回答でも6割が「勤務意欲の向上」や「資質・能力の向上」につながっていない、「評価結果を給与に反映することが職員の頑張りの促進等につながっていない」と答えており、新人事評価制度の抜本的見直しや教職員の「評価育成システム」の撤回、評価結果の賃金リンクを撤回することが求められます。
また、教育職など他の給料表について「行政職給料表の制度改革を踏まえた見直し検討」を行うことが追加されており、人事制度では本庁部長の任用を11年度当初から実施できるよう検討するなど実施時期が追加されています。

(9)「プラン」の本質を知らせ、職場からの共同、府民との共同の力で打ち破ろう
《当面の具体的なとりくみ》

◆府労組連「見解」などを活用し、「財政構造改革プラン」や公務員制度改悪の内容や問題点を明らかにし、とりくみをすすめる学習・意思統一の場を組合員以外にも呼びかけて開催する。
◆現業職員の給料表改悪に反対し、府労組連として現業職員集会を開催する。9月7日(火)18:45〜会場、大阪府教育会館
◆賃金・労働条件に関わる当局提案が行われた段階で、府労組連拡大中央委員集会を開催し、具体的なとりくみの意思統一を行う。全職員・教職員向け「討議資料」を作成し、「全職員・教職員署名」にとりくむ。
◆府労組連として府当局、府人事委員会への要請・職場決議の手交8月26日(水)
◆「プラン」に対するパブリックコメントを、広範な府民団体、労働組合などに呼びかける。
◆公民共同のとりくみ府労組連として、8月中・下旬に大阪労連・民間労組等への要請行動を行い、パブコメや人件費削減反対のとりくみへの協力を呼びかける。
◆府民共同のとりくみ府労組連として、府内8ブロックで府民宣伝を行う。統一行動日・9月1日(水) 18:30〜
また、明るい会や府民連と連携し、宣伝・学習運動をすすめる。
◆講師養成講座や学習パンフの作成。
◆全教や自治労連と連携し、全国闘争を展開する。